服の良し悪しはパッと見ただけで判断できるものではないと思っています。
目で見て、手で触れてみて、実際に着てみる。また五感だけではなく、生産背景・工程や希少価値も良し悪しを判断する要素になります。
しかし、多くの人は服に対して審美眼を持っているわけではありません。
ただ今日ご紹介する一着に関しては、誰もが上質な服であることがわかる。見れば見るほど、触れば触るほど「良い服」だと頷くはず。
それだけ丁寧に作り込まれた服に出会いました。
AURALEE/LIGHT MELTON SLACKS
本日紹介するのはAURALEE(オーラリー)のLIGHT MELTON SLACKSというウールのスラックス。
中目黒にあるROOTS to BRANCHESというセレクトショップで購入しました。
AURALEE(オーラリー)はFilMelangeの元デザイナーである岩井良太氏による日本のファッションブランド。
2015年春夏に「自分たちが思う本当に良いと思う素材を追求する」をコンセプトにスタートし、日本屈指の生産背景から生み出す洗練されたプロダクトが人気を呼んでいます。
国内の大手セレクトショップでも販売されていますが、AURALEEのアイテムは毎度完売必須。ものによってはシーズンの立ち上がりからチェックしていないと、なかなか手に取ることができません。
そんなブランドのアイテムですが、縁があって手に取り購入することができました。
独特のヌメリと光沢
シンプルなウールのスラックス。一見、際立った特徴がないように見えるアイテムですが、細部に至るまでこだわり抜いて作られた一着です。
AURALEEは「素材作りからがデザイン」であるという考えのもと、素材や生地の選択には一線を画した拘りを持っています。
まず目で見てすぐ分かるのが、生地の上質な光沢感。
このスラックスの生地には極細な繊維を極細の番手に紡績したウールを使用。艶のある上品な印象に仕上げられています。
細い繊維や糸は上品な印象に仕上がる一方で、取り扱いがデリケートになりますが、繊維を高密度に織り上げることで、重厚感のあるしっかりとした風合いに整えていきます。
そして触れてみると独特のヌメリ感。服を触っているだけなのに、しっとりと不思議な触感が感じられます。
繊細な素材を使用しているからこそ生まれる触感。程よくふっくらとした起毛感で、まるでカシミアのマフラーに触れているかのような柔らかさです。
裏地もしっかりと貼られており、柔らかくしなやかなキュプラを使用。吸湿性、放湿性にも富んでおり、着用した時の肌触りも心地よいです。
装飾を削ぎ落としたルックス
素材や生地は申し分ないほどに洗練されていますが、ルックスにも抜かりがありません。
ベルトループはあえて削ぎ落としていて、両サイドのアジャスターで調整する仕様に。
ミニマルな腰回りでタックインした時も、洗練された印象に映るようにデザインされています。
ポケットはスリットポケットで、縫い目を隠すように備え付けられておりミニマルな印象に。
また、サイドスリットになっていて、横からスッと手が入るのでアクセスも容易です。
そしてウエストはボタンではなくホックタイプ。
ここでも外側から見える装飾は削ぎ落とし、細部までに美しさを追求しています。
無造作に溜まるクッション
素材、デザインときて極め付けにシルエット。
実際に着用してみないと分かりませんが、ハリのある生地が生み出す独創的なシルエットが美しい。
テーパードシルエットですが、僕は裾はあえてカットせずに足元にクッションを溜まらせるように着用しています。
ハリのある生地を使用している為、余った生地が無造作に溜まることで独特なシルエットに。
ブランドのルックを見ると裾はジャストで合わせていたのですが、僕はこのシルエットがツボだったので余った裾はそのままで履いています。
足元でくしゃくしゃと溜まるのではなく、立体感を保ちながらできるクッション。
上質な素材でつくるプロダクトだからこそ、生み出せるシルエットです。
誰もが頷く上質な服
特段服にこだわりを持っていなくても、上質な服だと分かる。
何を持って「上質な服」とするのか。その定義は人それぞれかもしれませんが、これは間違いなく良い服であると言い切れる。
なかなか手に取ることができませんが、もしAURALEEのアイテムと出会った時は、目で見て、手で触れて、実際に着てみてください。
「これは上質な服だ」と頷くはずです。
NEXT:中目黒のセレクトショップ
本日紹介した服は、中目黒のROOTS to BRANCHESというセレクトショップで購入。
中目黒にはおしゃれなセレクトショップが多数ありますが、その中でもおすすめのショップをピックアップして記事にしています。